ポジティブ心理学で習ったことを子育てに応用してみた3「共感」
私は、2018年から、松村亜里先生が主催する「ニューヨークライフバランス研究所」でポジティブ心理学を学んでいます。
で、ハワイ雑記と織り交ぜて、時々、「心理学を子育てに使うと?」という日記を書いたりしてます。
いや、ごめんなさい。ほとんどがアロハなおふざけなトロピカルな内容です。真面目な内容率、低し!
今日も、心理学ネタで、「共感」について。
共感は、子育てに限らず、パートナーシップ、職場関係などいろんな場面で使えるスキルです。人と人が交わる場面なら、本当にいつでも。どこでも。
亜里先生の講座「世界に通用する子供の育て方」「子供のウェルビーイングを高める兄弟げんかの対処法」でも、「共感」に関する研究やエビデンスを学び、たくさんの練習をしました。
今日は、我が家でのきょうだいげんか勃発時に、あり先生の講座で習った「共感」のスキルを使ってみた時の話です。随分前の出来事ですが、感激して、携帯にメモしてたんです。その転記です。
関連する理論やエビデンスはまた別の機会に。
【シチュエーション】
きょうだいげんかの発端はトランプでした。
兄(私の息子)、妹(娘)、祖父母(私の父母)、私でトランプをしている時。兄だけが劣勢、その他は勝ちそうという状況。
妹が、祖母に対して、兄をどうやって負かすか耳打ち。この態度が気に入らなかった兄が妹の太ももをつねり、いざ、喧嘩勃発!
「痛い!!」妹が泣き出します。
見ていた祖父母が一斉に、兄に向かって、「それはいけない」「なんでそんなことするの!」と注意。これで兄も気が動転し「ぎゃーー!!」と叫んで部屋に逃走!
【今までなら】
●どちらか叱りやすい方(より大騒ぎしている方)をきつめに叱る。
●「二人で喧嘩するなら、もうトランプやらない。勝手にしなさい」と放置して、関係者全員を惨めな気持ちにさせて反省させる(してないと思うけど)。
こんな感じで対処してましたね。当然、後味は悪く、兄と妹はお互いをものすごい目つきでにらみ合い、「フン!」「こっちだって、フン!」みたいな感じになります。
こいつのせいで、こうなったんだよな。くそー!みたいな気持ちを、助長する関わり方でした。
【共感スキル、やってみた】
まずは、そばで泣いている妹に対し、私自身が落ち着いて対応します。深呼吸、深呼吸。
「つねられて、痛かったんだね。」
「お兄ちゃんに痛い目に遭わされて、怖くて泣いてるんだね。」
「●ちゃんはお兄ちゃんに勝ちたかったんだね。」
すると....
「この人は分かってくれている...」というような光が、目に宿る!
こちらの声かけに頷いたり、「私はほんとは●●したかったの、、、」と返事をします。
この時点で「共感」の威力をすでに50パーセントくらい感じられます。
もし、叱るような感じで話しかけたら、普段は全く返事しないので。
ポイントは、彼女が感じていることを、否定しないということでしょうか。
ベースにある気持ちに寄り添う感じです。
ゲームに勝ちたい気持ちはわかるし、つねられたら痛いのも、わかる。
あなたが、そう感じていることは、わかっています、というスタンスです。
「そんな風に感じる必要、ない!」とか
「つねられたくらいで、泣くな!」とか、
言いがちですが、実は全然役に立たない声かけです。
この辺は、アデルフェイバ著「How to talk so kids will listen and listen so kids will talk」に詳しいです。子供にとっての大事な問題を「そんなのたいしたことない。」と評価することになり、子供は気持ちのやり場がなくなるそうです。感情は、認められると、次に進める。蹴ちらすと、居座る。
妹の気持ちが落ち着くのを十分に待ちます。
私はその上で、
「お兄ちゃんは、どんな気持ちだろう。」
「自分以外がみんなチームになって、自分を負かそうとしてたからね...」
「悔しかったんだろうね。他の人はみんな勝っちゃうんだもんね」
といった話をしました。
あなたの気持ちはわかる。あなたの気持ちは大事。
その気持ちは、絶対にそこにあるものだよね。
否定しようがないものだよね。
あれ?
でもそれと同じくらい、あっち(お兄ちゃん)にも大事な気持ちがありそうだね...?
なんとなく、そんな風に気持ちを想像するプロセスが、伝わったらいいなと思っていました。
そしてこう続けました。
「ただ、そう思ってたとしても、人の足をつねるとか、手を出すのはよくなかったね」
(妹への説明の中でも、兄の人格は否定しない)
「●ちゃん(妹)、つねられて痛くてビックリしたね。」
「お兄ちゃんは、嫌な気持ちを、言葉で伝えたら良かったね」
「お兄ちゃんは意地悪だね」
「あとでママが怒っておくね!」
とか、言いたくなっても、言わない。
妹、激しく頷く...。
で、この時は、私、とても心に余裕があったみたい。笑。ここで「おしまい」にせず、膝の上に乗せて気持ちが落ち着くまで、ハグしました。
はい、クイズ!ハグすると体内で何が起きる?
そう、愛情ホルモン オキシトシン分泌!
愛したい、愛されたい、人と繋がりたい、そんな気持ちになるホルモン..
⇨オキシトシンといえばこれですコレ。
続きです(今日の記事、長い〜笑) 。
しばらくすると、泣き止んで表情も普通に...。
むしろ、軽やかな表情かも。
妹が落ち着いた様子だったので、二階の部屋に逃走していた兄のところへ行きました。
兄(息子)はというと...
まだ布団に突っ伏してヒクヒク泣いている!優しく背中を撫でながら起こして、膝に乗せ、いわゆる赤ちゃん抱っこをしてみます。
「●ちゃん(妹)が、おばあちゃんとチームになって○くんを負かそうとして、悔しい気持ちになったかな。自分だけ負けるのは、嫌だったんだね。」
兄、やはり<この人、話わかるな>と察したのか、心のうちを話し始めました。
「●(妹)はいつも、僕の不利になるように言ったりする!」
「昨日だって、、、」
わだかまっている、心の内側を伝えはじめます。
時々、腕の中で顔を埋めたりして、体を預けて体温を感じているような感じ。9さいにもなると、前ほどゆっくり抱っこもできないので、温もりが伝わるように意識しました。
「そうか、今日だけじゃなくて、前にもそういう風に感じることがあったんだね。」
「いつも自分を負かそうとしているって感じてるんだね」
「悔しくて、足をつねってしまったんだね。」
「嫌な気持ちになって、なんとかしてやめさせたいって思ったんだね」
感情は相手のもので、私がその良し悪しをどうのこうの言わない。これって、選択理論の「他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来」にも通じるなぁと思いました。
あとは自分にも、子供にもコンパッション。
感情は湧いてくるもの。感じ方に良し悪しつけず、ありのまま、認めてあげること。感情に気づいたら、空の雲を眺めるように、それを認める、受け入れる(マインドフルネス)。
それから、「人間だもの」、つまり人は誰でもそういう境地になることがあるという見方をする(共通性)。
そして、あなたには、何が必要?という姿勢(積極的な親切)。この三つがコンパッションアプローチ。
共感から、セルフコンパッションまで話が飛んじゃいましたが、喧嘩の続き。
⇨兄、うなずき、同意するような反応が見られる。
私、心の中でガッツポーズ!やったー!なんか、いい感じの展開じゃないか!
この辺で、行動について言及します。
人格は認める。感情も認める。
その次に、行動の説明です。
「先に、言葉で言えたら、良かったかもしれないね」
「人をつねるのは、よくないことだね」
(以下、妹に説明したのと同じことを説明する)
ポイントがあるとすると、説教がましいトーンで言わないことでしょうか。
極めて普通のことを、普通のトーンで、淡々と言います。
すると...
キラキラキラー!
表情が変化!感情の炎が、弱火かトロ火になって、シュッと消えた!
何か、感じたようです。
兄、部屋の立てこもりはやめて、妹のところに一緒に行くことに。
やったー!! 大きな進歩!!
妹のそばまで行って、私が、「●ちゃんと話してみる?」と聞くと、こう言いました。
兄 :「痛い思いをさせてごめんね」。
え?今、謝った?
自分から謝った?
謝れって言ってないのに?
あのいつもの、
「謝りなさいっ!」
「ゴメンナサイ(棒読み、目線は上の空)」
じゃないパターン...!!
しかも、表面的な言い方ではなく、
いやいやでもなく、
本当に、極めて素直に、普通に、謝っていました...
そして!
そのあとは、びっくりするくらい、何事もなかったかのように普通に過ごしてるし!
一緒にレゴとかさ!
というわけで、随分長くなったけど、
この一連の騒動で思ったこと。
【まとめ】
●共感されると人は嬉しい。
●共感されると素直になって心を開いてくる。
●その後の態度に変化が出る。
(人は、共感されると、次は自然と適切な行為に移れる。エビデンス有)
共感のパワフルさを感じた出来事でした。
あと1つ思ったこと。
「普段からあいつの●●が気に食わない」と思っているようなふしがあるので、日常の中で、兄弟の闘争心を芽生えさせたり助長したりする発言がないか、もっと気をつけよう!と思いました。
さっきも出した、アデルファイバさんのこちらの本が、相当オススメです。
「How to talk so kids will listen, and Listen so kids will talk」(Adele Faber)
絵がいっぱい載ってるんですよね。結構心に残ります。
以上、長い喧嘩話にお付き合いいただきありがとうございます。
こんな感じで、時々 心理学の話も織り交ぜます。
アロハ!